44歳の僕がステージ4の大腸がんと診断されて

2016年大腸がん発覚。手術後、腹膜への転移が確認されステージⅣだと告知される。その後半年間に及ぶベクティビックス抗がん剤治療を受ける。2018年12月がん再発。アバスチン抗がん剤治療を受ける。

大腸のX線検査で苦労すること。造影剤の他に身体に注入されるものとは【がん闘病記04】

この記事ではヨシノ (id:yo_kmr)が2016年の6月初旬ごろに書いたメモをまとめています。

お尻からいろいろ注入されてぐるぐる回される地獄のX線検査

2016年6月。

今日は大腸のX線検査だ。

前日から低残渣(ていざんさ)の食事をして、この検査のために用意をしてきた。

看護師さんの説明によると、ここでの残渣(ざんさ)とは便として残るカスのことを言うらしい。

なので前日は病院で渡されたレトルトのお粥やスープだけの食事に加え、座薬や下剤による強制的な排便で腸内を空の状態にしておいた。

大掛かりな装置を使って大腸のX線検査が行われる

そして病院に行き、受付を済ませた後で案内に従って検査室の前で待つ。

しばらく待ってから検査室に通され、検査着に着替えて大掛かりな装置の上に仰向けで横になる。

冷たい機械の台の上に横たわって肌寒さを感じながら待っていると、検査技師もしくは医師であろう人が検査室に入ってきて検査の準備を始めた。

 

「では、お尻から造影剤を注入しますから、横向けに寝てくださいね」

 

指示通り横向けに寝ると、何やらジェル状のようなものをお尻の穴に塗られ、管のようなものが差し込まれるのが感覚的に分かった。

横向けに寝ているので、詳細には何をされているか分からないがそんな感じだ。

 

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わざわざ身体をひねって確認しようというのもなんだか気恥ずかしくてできなかった。

 

「じゃあ造影剤を入れていきまーす」

検査技師がそう言うとお尻から冷たい液体のようなものが入ってくるのが分かる。

これが苦しい。

ただでさえ下剤のせいで頻繁にトイレ行きたい状態なのに、開始一秒でトイレに行きたくなる。

(ぐうう、もしかしたらだめかも…こういう時、粗相してしまう人って多少はいるのかな…?)なんてこと考えながらなんとかこらえる。

ホントにギリギリだ。

大きな波が来たらドバっと出てしまうかも。

そんな心配をしながら必死に耐える僕に検査技師はさらに恐ろしいことを言い出す。

 

「はーい、それじゃあこれから空気を入れていきますからねー」

 

「!!!」

 

そう言うとなにやらシュコシュコと空気入れのようなピストン音を僕のお尻の方で立て始めた。

 

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(いやいや無理でしょ無理無理、これ以上なんか入れられたらドバっといっちゃう、決壊してしまうよ!)

なんだかお腹が張ってきた感じがするし、お腹の中がゴボゴボ言ってる。

(これが地獄か…)

そう思いつつ必死に耐えるなか、検査は続く。

まるでアミューズメントパークにある乗り物のような激しいライド

「では始めます。横向きになってくださいー、息を止めまーす。楽にしてくださーい」

 

「仰向けになってくださーい。台が上がりまーす、息を止めまーす。楽にしてくださーい」

 

「垂直になりまーす、息を止めまーす。楽にしてくださーい」

 

「足の方が上がりまーす、息を止めまーす。楽にしてくださーい」

 

検査技師の掛け声とともに機械仕掛けの台が垂直に近い状態になったり逆さに近い状態になったりぐるんぐるん動き回る。

子供のころならなんらかのアミューズメント的な乗り物っぽくて喜んだのかもしれないが今はそんなこと言ってる場合じゃない。

とにかく一秒でも早く終わってくれ!そしてトイレに行かせてくれ!たのむ!!!

そう、心の中で叫んでいた。

 

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「では、これで終わりますねー」

 

検査技師のこの言葉がどれほど救いになったことか…。

終了直後に速攻でトイレに行ったのだが不思議と出ないものだった。(その後大きな波が何度も来てジャージャーと水のような便が何度も出た…)

 

ポコンと浮かび上がった残念な気持ち

そして、いよいよ全ての検査結果を踏まえた医師の見解を聞くときがやってきた。

前回、町医者で受けた内視鏡検査では肛門から15センチくらい離れたS字結腸部分で癌が見つかった。

しかし腫瘍が大きいせいで腸内が狭くなっていて、カメラがそこから先へ進むことができなかったためにそこから先の腸内は先ほどのX線検査で調べるほかなかった。

 

汚い話になるが、トイレで用を済ませて大便を見たときに心なしか便が細かった気がするのは癌のせいで腸内が狭くなっていたせいなのかな?と今になって思う。

つまり内視鏡で確認できたのは腸内の最初の方だけで、癌がある肛門から15センチのS字結腸以降の腸内は癌がカメラの通り道を塞いでいたためにほとんど見れてないのだ。

もしかしたらS字結腸の上の方というか奥のほうに他の癌があるかもしれないし、むしろ最初のS字結腸の癌は奥の方からの癌が転移してきたという可能性だってある。

 

腸内が癌だらけだったら僕はもう助からない 

もし腸内が癌だらけだったらどうしよう… 

そんな不安を抱えつつ看護師さんに名前を呼ばれて診察室に入り、担当医のウエノ先生の前に座る。

 

「今日、大腸の透視をやってもらったわけですが…」

低いトーンで先生が口を開いた。

 

先生の机の上のパソコンのモニターには今回の検査結果の大腸のレントゲン写真っぽいものが映し出されているが、素人の僕にはどこかに異常があるかどうかは分からない。

 

「ここの白い部分は造影剤が入ってる部分ですね。ひととおり見たところ異常は無いようです。転移した様子もありません」

 

身体から力が一気に抜けるような、そんな脱力感で笑っていいのか泣いていいのかよく分からない複雑に気持ちになる。

そしてさらに先生はこう続ける。

 

「今のところ癌は局所的に留まっていますので、外科的手術できれいに取り除けば大丈夫でしょう。よかったね!」

 

そう言うと同時に先生は僕に初めてニッコリと微笑んで笑顔を見せてくれた。

これまでのやりとりのなかで初めての笑顔。

そのポジティブな笑顔と言葉でかなり気持ちが楽になった気がする。

 

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もしかしたらまだ生きられるのかもしれない。

嬉しい。

その嬉しさと同時に僕の心の奥にほんの少しだけ「残念な気持ち」がポコンと小さな泡のように静かに浮かび上がったことを僕は見逃さなかった。

 

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???

どうして残念に思う気持ちが沸いてくるんだろう?

僕はこの世界から離れていきたかったのか?

 

分からない。

うん、分からないな…

明後日は胃カメラの検査

そのあと、念のために胃カメラの検査を明後日に予定して、その検査結果で何事も無ければ来週にも手術する、ということになった。

胃カメラの検査の予定の打ち合わせと注意事項を聞いてからこの日の診察は終わった。

病院を出ると少し背伸びをして身体をのばし、来た時よりも若干晴れやかな気持ちで家路につくことができた。

まだまだ不安は残るが生き残る可能性が出てきたということは喜ぶべきことだ。

嬉しい。とっても嬉しい。

もしかしたら僕が引いたカードは小さなハートが真ん中にあるハートのエースなのかもしれない。

そうであって欲しい。