44歳の僕がステージ4の大腸がんと診断されて

2016年大腸がん発覚。手術後、腹膜への転移が確認されステージⅣだと告知される。その後半年間に及ぶベクティビックス抗がん剤治療を受ける。2018年12月がん再発。アバスチン抗がん剤治療を受ける。

大腸癌摘出手術から3日経過して初めて口から水が飲めるようになる【がん闘病記12】

この記事ではヨシノ (id:yo_kmr)が2016年の6月中旬ごろに書いたメモをまとめています。

大腸癌手術から3日経って硬膜外麻酔が外さる

2016年6月。

手術から3日経ち、身体も幾分か楽になった気がする。今日は背中についていた管が外された。(硬膜外麻酔)

背骨に直接痛み止めを流し込むための管なのだが、痛み止めを入れておく袋を首からぶら下げておかないといけなかったので、それも一緒に外すことができて首回りがスッキリした。

この袋、就寝中もずっと首からぶら下げていないといけなかったので寝返りをうつたびにあっちにいったりこっちにいったりで首が引っ張られるような感じでうっとしかったので。

久しぶりに口から水分補給をする

そして、病室に回診に来た担当医のウエノ先生から、水かお茶なら飲んでいいとのお許しがでた。

ただし少量づつ、ゆっくりと。

早速、水を飲んでみることにする。

水は手術前に一応買っておいたものがまだ手つかずで置いてある。

手術日の朝以来、固形物はおろか水分すら何も口には入れていなかったので、3日ぶりに口から何かを摂取することになる。

点滴のおかげなのか、この3日間のあいだ不思議と「喉が渇いて我慢できない」なんてことは無かったけど口から何か摂取できることはやはりうれしい。 

慎重に水が注がれたコップに口をつけ、少しだけ口に含む。

含んだ水の1/3くらいを飲み込んだ瞬間、むせてしまった。

いだだだだだ、痛い痛い。

ゲホッゲホッとむせるたびにズキンズキンと傷口に響く。

やばい、これは痛すぎる。

ドラマかなんかで腹部を刺された人が咳をしすぎて傷口が開くパターンのやつだこれは。

人間って咳をするのにこんなに腹筋を使っていたんだと改めて実感する。 

 

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大腸癌手術から4日経過。尿道カテーテル離脱とお見舞い

大腸癌の手術から4日経った。

お腹の中で感じていた痛みもだいぶ和らいできた気がする。

昼頃、尿道に繋げてある「尿を取るための管(尿道カテーテル)」が外されることになった。

今まで何度も手術経験がある僕には分かる。

これは抜くとき結構痛くて、その直後おしっこが出そうで出ないという事態に見舞われるやつだ。

今回その管を抜いてくれる日勤の看護師さんは普段はあまり見かけないけど割とベテランっぽい感じの人でふくよかな体系が印象的な人だ。

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「ちょっと痛いかもしれないけど、一気に抜いちゃいますからねー」

看護師さんはそう言って慣れた手つきでさっと引き抜いていった。

あれ?そんなに痛くなかった。

上手な看護師さんに当たったみたいだ。

ふくよかな看護師さんのお陰で痛い思いをしなくて済んだ。

ありがとうございます。

その後おしっこも普通にできた。

弟一家のお見舞い

夕方、弟家族が全員でお見舞いに来てくれた。

弟夫婦と中学3年と1年の甥2名と小学3年の姪1名の総勢5人だ。  

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お見舞いに来てくれるのは嬉しいが正直、僕は自分自身のお見舞いにはあまり来て欲しくはないと思っている。

その理由は何故かというと個室ではない病室ではいろんな状況の入院患者がいるため。

もしかしたら僕以外の入院患者さんで、今まさに痛みに耐えながら眠りにつこうとしている人がいるかもしれない。という可能性を考慮すべきだと思うので、病室ではあまり騒がしくすべきではないし、あまり会話はすべきではないと思っている。

それに現在の僕の状況では声はかすれて満足に喋れないし、かといって身体中いろんなところから管で繋がれていて身動きもしずらいので談話室に移動するということも難しい。

加えて僕自身、特別さみしがり屋さんというわけでもないし、常に人恋しいというわけでもない。

あと、割と長いこと1人でいても平気な方なので「寂しいからお見舞いに来てほしい」と切望することもあまりない。

でも、こんなことせっかくお見舞いに来てくれたみんなに言うことなんてできない。

ただただありがたいと思う。

分からないということがよく分かるよ

 「具合はどう?」

と弟。それに対し大体の現在の状況を簡単に説明する。

それを受けて弟が言う。

「まあ、治療はまだまだこれからもあるもんね。抗ガン剤とかもしないといけないだろうし、取り敢えずは早く元気になることが先決だね」

(ん?抗ガン剤?母さんから何か聞いたかな?)

現時点で僕は担当医のウエノ先生からは今後の治療プランで抗ガン剤治療が確定してるなんてことは聞いてはいない。

もしかしたら母には先生から直接手術後に僕がまだ聞いていないことを何か伝えられているのかもしれない。(後で聞いたことだが母は先生から手術直後にいろいろ聞いていたみたいだった。僕の余命についてのことなども)

ふと一緒に来ていた子供たちを見ると困ったような複雑な顔をしている。 

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いろんな管に繋がれた人間を見るのもショックだろうし、こんな状態の病人にかける気の利いた言葉なんて中3から小3の子供らにはまだ分からないだろう。

この子たちとは小さいころからよく一緒に遊んだし、友達のように接してきた。

そんなおじさんが大きな病気をして入院している。

身内で癌などの大病を患った人間をこれまで見たことが無いので混乱するのも無理もない。 

「今は元気を取り戻すことが先決だからね、早く元気になってよ。ほら、お前からも何か元気づけられる言葉を言ってあげなよ」

弟はそう言うと隣にいた中3の甥を肘でつついて何か言うようにうながした。 

突然のフリに中3の甥は困惑の表情を見せながら震えるように小刻みに首を小さく横に振る。

 「そんなのイキナリ言われても…今までこっちが勇気づけられる方だったのに、分かんないよ…」

うんうん、分かるよ。分からないということがよく分かるよ。

僕の容体も手術後間もないし、そんなにすこぶる元気というわけではないので弟たちは早めに切り上げて病室を後にしていった。 

斜め隣のベッドの声の大きなおじいさん

この病室に入って数日経ったけど、他の患者さんのことで気づいたことがある。

昨日夜中に泣いていたおじいさんの向かい側のベッドにいるおじいさん(僕から見たら斜めに位置する。おそらく80過ぎ)は耳が遠いせいか、とにかく声がでかい。

 

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機嫌が悪いときはその大きな声で毎日お見舞いに来ている奥さんや担当の看護師さんにあたったりもすることもあるのだが、何かしてもらって自分が嬉しいときのおじいさんの言葉は実直でストレートで飾り気がなく、実に相手に響いていると思う。

 

「あーこれしてもらったから気持ちいいよー」

「たすかったーありがとうー」

 

こういうことを率直に大きな声で言う。

 

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まさに心からの言葉であり、感情と直結した言葉だと思う。

その言葉にはフィルターが全くかかっていない。

ここでいうフィルターとは社会的通念とか世間体とか他者に対しての期待とかそういう感じのものだ。

そんなフィルターを通さずに心からの自分の言葉を素直に発している。

僕も見習いたい。そんな姿勢を。

斜め隣のベッドのおじいさん、大切なことを教えてくれてありがとう。

病室の間仕切りのカーテン越しだけど大切なことを学ばせていただきました。