44歳の僕がステージ4の大腸がんと診断されて

2016年大腸がん発覚。手術後、腹膜への転移が確認されステージⅣだと告知される。その後半年間に及ぶベクティビックス抗がん剤治療を受ける。2018年12月がん再発。アバスチン抗がん剤治療を受ける。

抗がん剤治療1クール目の初日。薬剤師さんにいろいろ質問してみる【がん闘病記32】

この記事ではヨシノ (id:yo_kmr)が2016年の7月初旬ごろに書いたメモをまとめています。

抗がん剤治療での入院。投薬の続き

2016年7月。

抗がん剤の投薬開始から3時間以上が経ち、薬の種類も4種類目になった。

抗がん剤治療の弊害を今の段階であげるとすると、それは「頻尿」であると思う。

結構な水分が点滴として体内に入ってきているので尿の頻度が増すのは仕方ない。

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加えて情けないのが最近加齢のせいかおしっこの切れが悪い。

シャキッと出切らないでいる。

さっきもトイレからなかなか出れないでいた。

おしっこが一通り出ても、点滴がポタポタと落ちるたびにおしっこもポタポタと落ちる。

点滴がポタポタ…

おしっこもポタポタ…

なんだかエンドレスに続くみたいだ。

ああ、いやだ。

なんてことをIpadのメモ機能で書いている今現在もおしっこに行きたくてたまらなくなってきた。

早くこの文章を一区切りつけなくては。

頼りになる担当の薬剤師さん

さっき薬剤師さんが来て「顔に抗がん剤の副作用で肌に湿疹が出たときの薬」を持ってきてくれた。

僕の担当のカワノ薬剤師さんは見た目30代前半の男性で朴訥(ぼくとつ)としたタイプの青年だ。

ドラマや映画では主人公になるようなイケメンタイプではないけれど(ちょっと失礼かな)、主人公の友達として明るく手助けするタイプだ。

 

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僕は自分の抱えていた疑問をこの際だから聞いてみることにした。

「ちょっと聞いてみたいことがあるんですが…」

そう薬剤師さんに問いかけると、ほんの一瞬だけ薬剤師さんは神妙な顔つきになった。

おそらく僕の質問に答えられるよう臨戦態勢を整えたのだろう。

でもそれはほんの一瞬のことで、スグにその表情にはこれまでの柔らかさが戻っていた。

 

抗がん剤について薬剤師さんにいろいろ聞いてみる

「点滴での投薬が始まって数時間経ちますけど問題というか、気になってることは今のところは化学療法での副作用うんぬんではなく『頻尿』ということなんですね」

「さっきから頻繁にトイレ行ってるんですが、夜中じゅうこんな感じだと、ちゃんと眠れるかどうか心配なんです」 

という僕の問いに薬剤師さんは… 

「今回夜に使用する点滴は500mlの量を22時間かけて体内に入れていきます。ですので1時間に入る量は約20mlちょいですから頻繁におしっこ行かなくっちゃってほどの量でもないと思いますよ」

明るい声でそう答えてくれた。 

「なるほど、1時間で約20mlくらいなら就寝時間が8時間としても約160ml。コップ一杯分もないくらいですね。そう考えれば普段寝る前にそれくらい飲むこともあるし、しっかりトイレに行っておけば大丈夫そうですね」

夜中のトイレ問題の疑問は解決した。

しかし500mlといえばペットボトル1本分くらいの量だけど、それを22時間もかけてゆっくり身体に入れていくということはよほど強い薬なのかな。

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 でもこの質問はまだ序の口、前フリ的なものだ。

本命は次の質問から。

 

化学療法において強い薬が及ぼす影響とは

「担当のウエノ先生は今回僕に投与される抗がん剤は一番強い部類の薬だと言っていましたが、そんな強い薬を心臓に近い血管から流し込んで心臓自体にダメージはないんですか?」(抗がん剤を投与するリザーバーは右鎖骨の下の皮下に埋め込まれているので比較的心臓に近い場所にある) 

僕のこの質問に薬剤師さんは右手を自分の顎の下にそえて視線を斜め下に落とし少し考えを巡らせたあと、明るくはっきりとしたトーンでこう答えてくれた。

 

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「今回の薬が心臓にまったく負担がかからないかというとウソになりますが、多少の影響はあるもののほとんど問題のない程度です」

薬剤師さんは話を続ける。

「本来、心臓に影響が出やすい……、例えば心不全などですが、そういうタイプのお薬を使用する場合は事前に心臓の状態をしっかりと調べます」 

「なるほど、それはそうですね」

今回の投薬に際して僕は心臓に対しての綿密な検査は特には受けていなかった。

 

「それと、心臓に近い場所から投薬しても末端から…、あ、『末端』というのは腕などのことですね。心臓近くから投薬しても腕から投薬したとしても、結局のところ巡り巡ってお薬は心臓に戻ってきます。ですのでその点で投薬する場所であまり大差はないと思われます」

薬剤師さんはそう付け加えた。

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うーん。分かりやすい。

分かりやすいよ薬剤師さん! 心のつかえがスーッと取れていくようだ。

加えて薬剤師さんはこう付け加える。

「それに腕などの末端から今回のように長時間投薬を続けていくと、人によっては血管自体にダメージをうけて変色してあざのようになる場合もあるんですよ」 

 

薬剤師さんの言う血管にダメージとは?

え?血管にダメージ?それはまた怖いことをおっしゃるじゃないですか。

なんですかあなた、上げて落とすタイプの人ですか?

そう思った僕はこう質問した。

「えっ、じゃあ心臓に近い場所にある血管がダメージをうけたら大変なことになるんじゃ…」

 

不安になって恐るおそる尋ねる僕に薬剤師さんは「ご安心を」と言わんばかりの表情で明るく答える。

「腕などの末端に通ってる血管はごくごく細い毛細血管です。今回リザーバーから供給される血管とは太さがまるで違います。血流の量も違いますので血管を通るときのお薬の濃度も違ってくるんですよ」

 

なるほど、細いストローと太いホースでは流れる量も確かに違う。

点滴から体内に供給される薬の量は輸液ポンプという機械で毎分毎秒一定量に供給されるように設定されている。

血流の量が多ければそれだけ薬の濃度も薄まってくるわけか。

 

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 「いやあ、安心しましたー。聞いて良かったです、ありがとうございます」

やっぱり分からないことは専門家に率直に聞いてみるのが一番だ。

 

「またお薬のことなどでご不明な点などあればいつでも聞いてください」

少しばかりの照れ隠しの笑顔とともに薬剤師さんは暖かい空気を残して病室を後にしていった。

それは夕刻に差し掛かる手前の初夏の明るい日差しのせいなのかもしれないけど、僕の気持ちまであたたかくなったのは確かだ。

 

夜通し続く点滴

このあとは夜通し休みなく、僕が眠っている間も点滴は続いた。

心配していた「頻尿」については薬剤師さんの言っていたとおり、身体に入ってくる点滴の量がゆっくり少量づつなので頻繁にトイレに行く必要もなかった。

それと点滴をしたまま眠れるだろうか?という心配も少しあった。

はげしい寝返りなどで点滴の管を引き抜いてしまわないように気をつけながらではあったけど、なんとか眠りにつくことができた。

 

こうして抗がん剤治療1クール目の初日が終わった。