44歳の僕がステージ4の大腸がんと診断されて

2016年大腸がん発覚。手術後、腹膜への転移が確認されステージⅣだと告知される。その後半年間に及ぶベクティビックス抗がん剤治療を受ける。2018年12月がん再発。アバスチン抗がん剤治療を受ける。

抗がん剤治療終了から半年後の検査と友の言葉に救われたこと【がん闘病記132】

この記事ではヨシノ (id:yo_kmr)が2017年の7月下旬に書いたメモをまとめています。

抗がん剤治療終了から半年後の経過観察として血液検査とCT検査を受けに病院へ向かう

2017年7月。

今日は病院で抗がん剤治療終了から半年後の経過観察として、血液検査とCT検査をすることになっている。

先日から原因不明の40℃前後の高熱が続いていて、つらい身体を引きずって病院に行く。

いつも通りに最初に血液検査のための血液を採取してからCT検査を受ける段取りになている。

順番がきて検査室に通され検査着に着替えてまたあの仰々しい装置の台の上に横たわる。

ごうんごうん唸り声をあげてる巨大なドーナツ状の輪っかのなかをゆっくりと通り過ぎる。

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「身体中に癌がはびっこている映像が映し出されてたら嫌だなあ、そうなったら多分長くはもたないだろうなあ…」

なんてことを考えつつも検査は滞りなく進む。

「じゃあ造影剤を入れていきますからねー」

と検査技師が声をかける。

今回でもう何度目かのCT検査になるだろうか、僕は造影剤を注入された後は身体がちょっと火照るような感覚なることももう知っている。

疑問に思ったことを検査技師に聞いてみる

ふと見ると二種類の造影剤が入っている注射器がセットされている機械が緑と青に光っている。

「光で何かしらの化学反応を起こしているのかな?」

ちょっと疑問に思ったので検査技師になんで緑と青に光っているのか聞いてみたところ薬の種類を区別するためだという。

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「なんで光っているとか、そんなこと考えたこともなかったですねーははは」

と検査技師は陽気に笑っていた。

毎日見飽きてるだろうから気に留めることも無い。

そんなもんなんだろうな。 

待ち構えていた友

CT検査を終えて検査室を出ると誰かから

「ようっ、久しぶり」と声をかけられる。

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見ると高校の時の同級生のカミヤマ(仮名)がそこにいた。

昨年急逝した同級生のムラハシ(仮名)の通夜式で再開した以来だ。

www.44cancer.com

彼は高校卒業後、看護師を目指して勉強して資格を取り、現在は看護師としてこの総合病院で働いている。

「勤務中で忙しいだろうに、偶然だね」

と僕が答えると、

「いや偶然じゃないよ。今日ヨシノがCT検査をすることは先生から聞いて知っていたので終わるタイミングで待ってたんだ」

と、僕のことを待っていてくれたようだった。

なにげない友の言葉に救われる

待合室で立ち話ながらいろいろな世間話をした後、最後に彼がボソッと言った言葉で

「でもさ、なんだかんだで長生きすんじゃない?」

と、言ってくれたのがうれしかった。

僕ら患者はしょせん医療についてはアマチュア。

病気になった途端に大慌てで試験前の学生よろしく猛烈に関連本を読み漁り、知識を詰め込んでまるで分かったような気になってるけど、毎日毎日現場に立ち生と死を見つめ続けたプロフェッショナルとは地肩が違う。

基礎が違う。

基盤が違う。

付け焼き刃とはわけが違う。

そんなプロフェッショナルである看護師の彼の言葉は重く信頼に足る部分が多いと思う。

そして生死に関わる病を患っている僕らがん患者にとってはその言葉尻やちょっとしたニュアンス、言葉を発するその表情の機微すらとてつもなく重く感じるものだ。

その一挙手一投足に一喜一憂するものだ。

もちろん中には酷い医者や看護師もいるだろうけど、幸運にも僕の周りの医師や看護師ならびに医療スタッフたちは真面目に真摯に自分の仕事に取り組んでいる方たちばかりで、その姿はときに神々しくさえ感じ、涙が出そうになるくらいだ。

そんなプロフェッショナルの現場で日々働いている彼が大丈夫だと言ってくれた。

それがなによりうれしかった。

僕は本当に幸せな高校生活を過ごしていたんだなと、改めてありがたく思った。

ありがとう。

数分間の立ち話だったけど、とてもとてもうれしかった。

検査も終わり、審判のときを待つ

血液検査とCT検査が終わり、検査結果を踏まえた問診を受けるために診察室の前でひとり待つ。

結構ドキドキしている。

気がかりなのは前日から続いている「謎の高熱」が癌の再発が原因だったらどうしよう…ということだ。

検査の結果次第では本当に死を覚悟しなければならない。

そして僕は何度も検査を重ねるにつれ、診察室に入った瞬間の担当医のウエノ先生の雰囲気でなんとなく結果が分かるようになっていた。

検査結果が良好で大丈夫な時の先生はたいていリラックスした感じで椅子に座っていて、柔らかい表情で検査結果が映し出されたパソコンのモニタや書類などを見ている。

今日はどうなんだろう?

おそらく診察室に入った瞬間に分かるだろう。

先生の心配そうな雰囲気に緊張が走る

そうこうしているうちに名前が呼ばれて診察室に入る。

診察室に入った瞬間の先生の感じはリラックスした感じではなく、なにか心配そうなそんな雰囲気を見て取れた。

これはマズいかも…

緊張して先生の前に座り、言葉を待つ。

「白血球は正常値まで戻ってきてるんですけどねえ…」

先生はそう切り出すと、いろいろ調べたけどここ数日の高熱の原因がどうにもハッキリと特定できないと頭をひねっていた。

そしてその後で割とあっさりと、

「あと、腫瘍マーカーとCT検査の結果も別に異常はなかったので再発はないということで!」

と言うと同時に野球の審判がやる「セーフ!」のポーズ見せてくれた。

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今まで張り詰めていた緊張が解けて泣いていいのか笑っていいのか分からない気持ちになり、僕はその時きっと泣きそうな顔で笑っていたと思う。

あと、CTの結果で憩室(腸のヘルニアのようなもの?)があるとのことだったが、それはまだ軽度のものらしい。

なにはともあれ、僕は助かった。

まだ生きられる。

うれしい!

「こればっかりは何とも言えないけど、今のところは大丈夫みたいですよ」

先生のその言葉の裏にはこれまで何度となく大丈夫だと思ってた患者が癌を再発したという経験があるんだろうな、ということが感じとれた。

しかしとりあえずは大事に至らなかったようでよかった。

高熱の原因は何らかの感染症だったらしい

後日、原因不明の高熱も病院から処方してもらった抗生剤を飲んでたらだんだん下がってきたのでやはり何らかの感染症だったのだと思う。

とにかく高熱の原因が癌の再発、進行ではなくてよかった。

たすかった。

僕はまだ生きられそうだ。

高熱ひとつで一喜一憂している自分が情けなくもあるが、これもまた癌患者としていたしかたないところではあるのかもしれない。