44歳の僕がステージ4の大腸がんと診断されて

2016年大腸がん発覚。手術後、腹膜への転移が確認されステージⅣだと告知される。その後半年間に及ぶベクティビックス抗がん剤治療を受ける。2018年12月がん再発。アバスチン抗がん剤治療を受ける。

がんが再発で抗がん剤治療再開。アバスチンの投薬で入院する

この記事ではヨシノ (id:yo_kmr)が2018年の12月下旬に書いたメモをまとめています。

抗がん剤の投薬のため今日から3日間入院する

2018年12月。あと数日で今年も終わろうかという年の瀬の真っ只中。

 

前回のPET-CT検査では癌の再発が確認された。場所としては骨盤の中、膀胱付近のものと、少し離れた場所にもうひとつうっすらしこり程度のものがあるらしい。 

担当医のウエノ先生と相談した結果、また抗がん剤治療を再開するということになり、今日から3日間抗がん剤治療でいつもの総合病院に入院する。抗がん剤治療は外来診療でも受けられるみたいだけど、保険の入院給付金やもしもの時の医療スタッフによるサポートを考えて入院することにした。 

治療の流れとしては入院時に3日かけて抗がん剤を点滴してその後は11日間の休薬期間をおいてからまた3日間入院して…という感じになっている。終わりのめどはたっていない。

血液検査などは前回の来院時に済ませておいたので、今回は病院に来て病棟に上がるのを待つだけだ。

ウエノ先生最後の問診

病棟に上がる前に担当医のウエノ先生の問診があった。

問診ではこれまでの経緯の簡単な確認程度で、特別何か進展があるようなことは言われなかった。ただ、ウエノ先生は明後日には健康上の理由から病院を退職されるので、おそらくこれが最後の問診となる。

残念という言葉が刺さる

2016年にがんと診断されて今日まで、先生には大変お世話になった。大腸のS状結腸部にできたがんの摘出手術の執刀をしてくださったのも先生だし、その後の抗がん剤治療でもお世話になった。今回の問診がおそらくは最後。このあとは抗がん剤の投薬が始まるので僕自身どうなるかどうかは分からない。フラフラになって満足にお礼も言えないようではまずい。f:id:yo_kmr:20190421234053j:plain

 

これまでのお世話になったお礼はここでしっかり言っておかないと。と思った。 

「先生には本当に感謝しています。今までお世話になりました。本当にありがとうございます」

僕がそう言うと先生は恐縮された様子で

「いえいえとんでもない。でも今まで出なかったのにねえ…残念です。でもまだ、武器はありますので!」

と明るく仰った。

しかし僕にはこの「残念」という言葉が胸に突き刺さる。

先生が残念に思う病状を抱えた人間。

それが今の僕なのか…と。

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医者の方便

午前11時ごろに病棟に上がるが、病院特有の匂いにすでに吐きそうになる。

気持ちの問題なんだろうけど、抗がん剤の投薬も始まっていないのに今からこんなことで大丈夫か…大いに不安だ。 

今回から僕が受ける抗がん剤はアバスチンというもので前回のベクティビックスとは違うものだ。問診のときにウエノ先生は

「ベクティビックスはヨシノさんの場合、肌の副作用がひどかったでしょ?だから今回は違う薬を試そうと思います」

とおっしゃっていたが、それは『医者の方便』というやつなのだと思った。先生がおっしゃったことは事実に反することではないだろうが、さすがに「前回の薬は効きませんでした」とは言えないと思う。その真偽を先生に問いただした訳でもなく、あくまで僕の憶測に過ぎないけど、先生のそういった患者への配慮というか心遣いはありがたいことだと思う。 

やさしく温かみのある情に深い先生だった。

ウエノ先生が担当医で本当に良かったと思う。

2年前、ベクティビックス抗がん剤治療を受ける前に先生はこの薬について「強い薬」だとおっしゃていた。その「強い薬」が効かなかったということはショックでもある。「強い武器」をひとつ失ったということでもあるのだから。

投薬開始

12:00ごろ、僕の身体に埋め込まれている抗がん剤治療を供給するためのリザーバーに点滴針が打ち込まれた。

リザーバーとは僕の右鎖骨下の皮下に埋め込まれている500円玉くらいの大きさの装置で太い血管とつながっていてそこから抗がん剤を体内に入れていく。

最初の点滴は「制吐剤」で15分ほどで終わった。

多分吐き気どめだろう。

そのあと90分かけてアバスチンという抗がん剤を点滴するようだ。

前回がFOLFOX療法で今回がFOLFIRI療法とちょっとちがうのでまだ勝手は分からない。

2年前、一番はじめに抗がん剤の投薬をした時は、この吐き気どめを抗がん剤だと勘違いして気分が悪くなったのを懐かしく思い出す。

2日かけて入れていく長い点滴の始まり

アバスチンの投薬が終わって体調に意識を向けてみるが、特にこれといって変化はない。まあ、1回目だしこんなもんだろう。 

16:00ごろ、最後の点滴が始まった。

まだ入院初日なのに最後とはどういうことかというと、この点滴は46時間の長時間にわたって少しづつ身体に入れていくらしい。なので終わるのは明後日の午後ということになる。量としては500~600mlくらいかな?加えて前回にはつけられなかった心電図がつけられた。心電図といっても簡易的なものらしく、小型で持ち運びが可能のもの。とはいえ、わずらわしいものが増えるのはあまり喜ばしいものじゃない。コードが絡まらないように気をつけないと。 

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夜。

夕食が配膳されたがあまり食欲は無く、ほとんど食べられなかった。吐き気も少しあるみたいだけど、気持ちから来るものなのかもしれない。

よく分からない。というのが正直なところ。

神経質になっているところもあるのかもしれないが、前回のベクティビックスとは薬品が違うので油断はできない。

気持ちがつらいときの僕なりの対処法

21:00ごろ。

なんだかとてもつらい気がする。まだ抗がん剤投薬1日目だというのにこんなことで大丈夫なのか?体調に意識を向けてみる。

舌は痺れていない。

倦怠感も無いと思う。

吐き気は少しあるけど気のせいのような気もする。

嗅覚は敏感になって病室内の匂いが気になっている気もするが、これは抗がん剤の投薬を受ける前も少しは感じていたこと。思うに今つらいのは肉体的な面からではなく、精神的な面からではないかと思う。

再発という事実。

これからつらくなることは確実な抗がん剤治療。

自分の命が、人生がどんどん目減りしていっている感覚。

どん詰まり。

絶望。

このような感情が気分を限りなく落ち込ませ、つらくなっているのだと思う。このような状況は2年前にステージⅣの大腸がんだと告知された時にも味わった。

だから初めてではない。

ある程度の対処法も知っているし、この落ち込みには「波」がある事も今では知識としてある。今こうやってIpadのメモ機能を使って自分の心情を書き出すだけでも少しは楽になっている。ネガティブな思考は同じようなことが頭の中でグルグルと何度もまわりがちだけど、こうして一旦文章に書き起こしてしまえばあまり考えなくてすむようになる。

うん、なんだかさっきよりは楽になって来た気がする。 

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1番いいのは自分の大好きな人や恋人、奥さん、パートナーに優しく抱きしめてもらうことなんだろうけど、あいにく独り身の僕にはその手が使えないのでこれは苦肉の策だ。